リーン製品開発の全体像 – イベント駆動型のプロセス
イベント駆動LPDプロセス(Event-Driven LPD Process)
イベント駆動LPD (リーン製品開発、Lean Product Development) プロセスの全体像です。
プロジェクトをスタートする時に、マーケット要求イベントで、マーケットニーズ(お客様の声)をエンジニアの言葉に変換し、差別化要因を明らかにし、それら要件に優先順位を付けます。
次に、プロジェクト計画イベントで、成果物と依存性を明らかにして、チームのマイルストーンを作成します。
またリスク低減イベントでプロジェクトリスクを特定して、それらを軽減する戦略を策定します。そして、本格的にプロジェクトが始まります。
図の横軸は時間を、縦軸は検討すべき設計案を表しています。漏斗状のカーブは、製品設計や製造プロセスの案が徐々に絞られていくことを示しています。
そうしたプロジェクトリスクを軽減するために、システマチックなアプローチを用います。ラーニングサイクルイベントで、設計案が徐々に絞られていくことを確認します。また、そこで、各機能組織間(例えば、ソフトウェア開発とハードウェア開発)の足並みも揃えることができます。
プロジェクトの進行状況や問題点は、プロジェクトボードとスタンドアップミーティングを組み合わせた可視化ワークフロー管理 (VWM, Visual Workflow Management) で、ダイナミックにチームで自己管理されます。
製造プロセス開発も並行して準備を始めます。製造プロセス準備 (3P, Production Process Preparation) イベントで、製品開発と足並みを揃えていくのです。
こうしたプロセスを支えるのは、ガバナンスや、プロジェクト優先順位付け、キャパシティ・リソース管理といった管理手法と、知識(ナレッジ)ベース開発や学習する組織といった行動様式です。
以上でご説明したイベント駆動LPDプロセスの特徴を次に示します。
- 後戻りしないスムーズな流れを作ること
- フェーズゲート間の道標とすること
- 早期にリスクを見極め、学習(ラーニング)し、それを軽減すること
このようなLPDプロセスを導入された企業では、実際に開発期間が短くなった例もあります。これは、開発初期に、イベントを用いて要件やリスクを明らかにできたこと、そしてファンクションの足並みを揃えることができたことが、開発期間の短縮に貢献したのです。